深夜便より

ぐうたら歩未の何でも書きますよブログ

「タマラセ」(六塚光、角川スニーカー文庫)

当時、レギオス第二部終盤〜第三部のシリアスここに極まれりといった感じの展開の連続(というか主に15巻)に次第に心が辛くなり、休息がてら一時的な逃避先として手を伸ばしたのが本作。
ところがなんとこれが大当たりでした。


本作の魅力はなんと言ってもやはり、ほのぼのした日常要素や青春要素がありながらも殺伐としたクレイジーな世界観です。健全に歪んでいると言ってもいい。
偶然異能を得ただけの普通の高校生男女が(事情があるとはいえ)容赦も躊躇いもなく全力で相手を殺しにかかる図は、はっきり言ってとち狂っています(主に倫理観が)
それも魔法や異能の力でファンタジー的に倒すのではなく、鈍器で殴打したり刃物で切り刻んだり軽トラックで跳ね飛ばしたり····· と、より現実的且つ直接的な手法がメイン(繰り返しますがメインキャラクターは普通の高校生男女です)
まあ一応、異能っちゃ異能なんですけどね····· 軽トラ以外。


実際、あとがきによると「残虐描写が多すぎる」という感想?クレーム?を作者自身、何度か受けたようです。
しかしながら陰鬱陰惨な心情描写やシリアスな文体でおどろおどろおどろしく演出するのではなく、所々にギャグを絡めながら明るく楽しく爽やかに(?)血みどろバトルを描いている点が本作最大の特徴。
当然ながらストーリーが進行するにしたがって人死にがガンガン増えていきますが、人間を殺めることによる後悔や葛藤、罪悪感の表出はほとんどありません(なぜなら殺すに値する正当な理由が存在するから)
それどころか毎巻バトル物として正しく盛り上がった挙句、いい話風にオチをつけてきます。
もはや一周回って普通の青春バトル小説のよう。



·····と、ここまでホラーな部分を中心に紹介しましたが、伝奇小説としての面も普通に優秀で歴史的背景や能力の設定は「ふむふむ」と面白く読めます。
また、上で軽く触れたように青春要素や恋愛要素もあることはあるので、人によってはこちらも十分楽しめそう。
個人的には所々で突発するぶっ飛んだギャグとそれに対する淡々とした主人公のツッコミがたまらなく好きなのですが、一方でしょうもないと言えばしょうもないので、もしかすると人を選ぶかもしれません。
ギャグのセンスが合うか合わないかで本作の評価もかなり変わってきそうです。



余談。

上記で書き損ねたキャラクターに関してですが、全員もれなく大好きです。
元々は久里浜純(メガネ&ツインテ/歩く理不尽と暴力)目当てに読み始めたのですが、最終的には八坂井姉妹と主人公・三助が一番になったかな。
前述したように、彼の "声を荒らげないツッコミ"(ラノベ主人公らしい「なんでだよ!?」みたいな叫びツッコミはしない)はシュールで癖になります。
もちろん、長坂も伊勢谷も結衣ちゃんも好き。
血と腸にとち狂った幼女は個人的に大変好み(あれ····?結衣ちゃんってそんなキャラクターだっけ·····。たぶん若干「レンズと悪魔」のホタルが混じっている)
佐倉は不憫。

というより、こと可愛さという点では伊勢谷はヒロイン夏月に匹敵するパワーを持つ····· とか思うのは私だけでしょうか。
私だけかも。