深夜便より

本とコスメとライフスタイル

数少ない男×男?コンビによるバディ系バトルファンタジーのお話

昔読んだ作品を振り返ろうの会。
またえらく懐かしいシリーズを引っ張り出してきましたね(しみじみ)

主人公は男、契約相手の相棒も男(寄りの無性別)な男×男?コンビによるバディ系バトルファンジー ·····ということで、読み口はライトノベルというより少年漫画っぽい(主人公の短気で荒っぽい性格がその印象にさらに拍車をかけている)
1巻の後書きで「某ジャンプ系熱血小説」とありますが、まさしく少年ジャンプで連載されてそうな感じのノリ。

このバディのワクワク感は今で言うと電撃文庫の「錆喰いビスコ」かな。
ビスコとミロほどお互いを好きあっているわけではありませんが。


しかしながら本作は「バディ物は斯くあるべし」と言ってよいほど完成度の高いお手本のようなバディ物で、少年・エルバと契約魔神・ルナの関係性の変化とコンビネーションの成長を見守るのが非常に楽しいです。
四六時中喧嘩が絶えないような険悪な仲ではなく、かと言って以心伝心相思相愛なベタベタした関係でもない、あっさりとした絶妙なバランス感が非常に好み。
ほぼ男コンビ(?)で常に一緒にいるにも関わらずイチャついてる感が全くないのでそういったことを気にされる方にも普通にオススメできます。*1
とかなんとか言いつつ、


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「いざという時は、僕が君を守ってあげる。そうだろ?」 
「わかった。俺の命をおまえに預ける」
(「レンズと悪魔」二巻より)
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↑こういう会話を大袈裟ではなくサラリとやってのけるあたり、互いに対する信頼と評価は決して低くないんですよね。
普段から程々に口論(しかし決して喧嘩ではない)して、程々に仲が良い凸凹コンビが こと戦いの場で見せる阿吽の呼吸に毎度毎度読む側のテンションが上がります。

「これ使って!」のセリフに「オーケー!持ってけ!」と返す武器交換のシーンは "お互いわかってる感" 、 "言葉にせずとも(自分が何をする気か)わかるだろ!という相手への信頼感" が感じられてワクワクするし、「なにやってんの!」「お前こそなにやってんだ!」と怒鳴り合いつつもどうにかして劣勢のパートナーの力になってやる手段はないか真剣に模索する姿はいかにもバディらしくて素敵。

正直なところキャラクターや日常パート、ギャグセンスなどは前作「タマラセ」の方が断然好みなんだけど(キャラクターは特に)、アクションシーンの楽しさや駆け引きのギリギリ感とハラハラ感、ビジュアルの派手カッコ良さという点では本作が圧倒しています(そもそも「タマラセ」に出てくるメインウェポンは何の変哲もない紫色の棒や、ただの竹槍ですし·····)
戦闘シーンにおける最高のコンビネーションをぜひ一度ご覧あれ。


ちなみに前作から続く「目的を果たすためには誰であろうと容赦はしない」「正当な理由さえあれば殴る蹴る脅すにさほど罪の意識は生まれない」「むしろ死んでくれても(殺しちゃっても)オッケー」という点は相変わらず。
というよりさらに別の要素が加わってパワーアップしています。
というのも、本作で主人公たちは「世のため人のためのために異能の力を振るう」のではなく、自らの目的、もっと言えば利己的な欲望を叶えるために自分と同じ立場にいる人間たち=敵を(彼らの所業の善悪を問わず)力ずくで舞台から蹴り落とすことに使うのです。

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「俺は、『悪い奴だから』という理由でバガテルやクルトを倒したわけじゃねぇ」
ファルナの目を見ながら、エルバはそう言い切った。
八眼争覇の敵として立ちふさがってきたからこそ、エルバはバガテル達を倒した。
父の仇を見つけ出して復讐を果たす、という望みを叶えるために。
そこには、悪しき者に正義の鉄槌を下すなどというストーリーはない。
望みを叶えるのに邪魔だから倒す、それだけだ。(「レンズと悪魔」三巻より)

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うん、大体こんな感じ。
まあ元々バトルロワイヤルと復讐の物語ですしね。
倫理観など最初からほとんど無きに等しいです。



余談ですが、前作の読者なら「しろがねの悪竜」「とげとオレンジとジャッジメント」「情け無用の残虐ファイト」「チキュウ空手」「スパイクボール」etc.といった単語にピンとくるものがあると思います。見覚えのあるワードにいちいち「おっ」と反応してしまうのは楽しい反面、作者の術中にまんまと嵌っているのがよくよく実感されてなんだかちょっと悔しいです。




余談2

本作の唯一にして最大の欠点は、私の考え方と登場人物たちの考え方がことごとくすれ違う点。
特にあれこれ矛盾しまくりというか、ナチュラルに自己中心的態度をとり続ける某メインキャラクター二人の言動は、真面目に受け取ると結構な頻度でイライラさせられます(中盤以降はマジで共感できなくて、イラ度が加速します)
賢明にも私は最序盤でさっさと感情移入を諦め、以降は終始「へぇ〜、ふぅ〜ん」という生温い目線で事の成り行きを見守っていました。
実際この判断は大正解で、読む上でのストレスはそこそこ軽減されました。
キャラクターの行動原理に賛成できようとできなかろうと、アクション自体は楽しくて爽快感があるのでオッケーです。

(事情を知らなかったとは言え、明らかに自分勝手な理由で複数の人間を殺している犯罪者を被害者扱い&実は良い人でしたで擁護するのはさすがにどうかと思う····· この件だけは絶対に納得できないわ)



余談3
悪魔でバディでバトルが好き?
→Dクラを読みましょう。



富士ミス版↓


ちなみにBOOK☆WALKERラノベ読み放題でも読めます。

*1:一方、そういう方に絶対にオススメできないのが「覇者の三剣(トリスアギオン)」(十月ユウ、富士見ファンタジア文庫)。作者には失礼ながらホモ(みのある友情)と厨二がマジで読み手を選びます。私は超好きなんですけどね。